2011年07月11日

食料危機に潜む中国の陰

小麦粉価格の高騰に伴い、パン等の製品価格の値上げが発表された。

ロシアやオーストラリア等の世界的な干ばつに伴い、価格の高騰の影響と言われているが、本当にそれだけが原因で、作柄が回復すれば、長期的には価格の下落はあり得るのか。

主要穀物の価格動向を見ると、小麦ばかりではなく、とうもろこしや大豆も値上がり傾向にある。これらの現象を検証すると、キーワードが二つ見つかる。それは、中国とバイオ燃料である。

中国の目覚しい発展を否定する人はいないと思われる、その発展と比例し、食生活の変化、農地の都市化等、農産物を取り巻く環境は厳しものがあり、勢い、穀物輸入量が拡大している。大豆にいたっては、過去5年間で2倍の輸入量と増加しており、中国の国策である穀物自給政策に黄色信号が点灯している。

とうもろこしは、牛・豚・ブロイラー生産の重要な飼料であるが、バイオ燃料への使用が、価格高騰を招いている。さらに、中国等での肉食シフトが更なる原因となっていることは承知の事実である。

このような、世界的穀物動向の変化を、憂える人がどれほどいるか。この点こそが大きな問題で、食料輸入がストップした時点で気が付いても手遅れとなる訳で、国民遍く、自分が食べている食べ物がどのように供給されているのか、地球号の食料事情はどうなっているのか、等々、十分認識する必要があると考える。

ひょっとすると、未曾有の食料危機が訪れる可能性が示唆されます。原発事故も恐ろしいですが、見通しのきかない飢餓こそ恐ろしいものはないと思うのは私だけでしょうか。